CONTEST
コンテスト
【BRONZE】Creator 賞
作品タイトル
霧って、ドラマチック。
作品テーマ地域
静岡県御殿場市
お名前
三枝 由果 さん
作品説明
御殿場市は富士山の麓に位置し、標高450〜600メートルという珍しい地形をしているため、霧が頻繁に発生します。
視界が悪くなり不便なこともありますが、霧に包まれて周囲がぼんやりと霞むと、どこか神秘的で幻想的な雰囲気に変わります。
そんな霧に包まれたドラマチックな空気の中だからこそ生まれる言葉や出来事があるのではないかと考え、このポスターを制作しました。
受賞者コメント
このたびは、Creator賞に選出していただき、誠にありがとうございます。今回の受賞は大きな喜びであるのと同時に自信につながる経験になりました。いただいた賞を励みに、今後も制作を続けていきたいと思います。
審査員コメント
筒井 美希 氏
まず、絵作りの完成度がとても高く、霧の中を歩いている“あの感じ”がすっと伝わってきました。色数を思いきり絞ったことで、霧=白という記号的な表現を離れ、幻想的な世界として魅力が立ち上がっているのが上手です。文字の色や配置もシーンに溶け込んでいて自然。霧の多さを不便さではなく特別な体験へと変換してみせた視点が、とても気持ちのいい作品だと思いました。
カイシトモヤ 氏
イラストレーションを活用した作品、その多くがコピーの主張をただ図説した印象が強かった中、この作品はイラストとコピー(今日なら好きって言えるかも。)の距離感が非常に巧みだと感じた。霧という自然現象を、イラストの輪郭や塗りを曖昧にすることで背景の色面に溶ける表現に変える。グラフィックとして技巧的だけど、無理な押しつけがましさがなくお見事。二人が手を繋ごうとしている様子は、お互いの位置を確かめる寄る辺として、そして互いの距離を確かめるメーターとして比喩されていると感じた。ただ「霧ってドラマチック。」という受けのコピーは直接的すぎて、もう少し探索の余地があったのではないかとも思う。
田原 洋樹 氏
そのまま映画のワンシーンになりそうな光景です。「今日なら好きって言えるかも。」というキャッチコピーも絵と大変マッチしています。今この街に住んでいる人も、遠く離れて昔を思い出す人も、まだこの街に行ったこともない人も含め、みんなにこの街の良さをピンポイントで伝える秀逸さが目を引きました。政府がめざす「関係人口」の創出拡大に活用できそうな作品です。
宇田川 尊志 氏
ファーストインプレッションは絵本作家、いわさきちひろを連想させる画風で、ちひろファンの私としては一目で心に響いてくる作品でした。霧と淡い恋心、ふわっとした青を基調とした色彩…キャッチコピーと絵がとてもマッチし、バランスがとれ、Creator賞にふさわしい作品です。顔の角度から男の子がセリフの主であることが分かり、おじさん(私)としては青春時代に引き戻されていく感覚を抱かせてもらいました。
作品タイトル
まだまだ消えない月明かり
作品テーマ地域
福岡県嘉麻市
お名前
松野 一平 さん
作品説明
ある晩、ライト片手に外に出てみると、ライトが必要ないくらい外が明るくてびっくりしました。「どこの電気?」と思い空を見上げるとそこに月がありました。
月明かりがこんなに明るいのかと、アラフォーにして初めて知りました。それは福岡市から嘉麻市に移住して来て数ヶ月後のことでした。また、嘉麻市が「福岡県内で一番消滅しそうな市」であることを知ったのも移住した後でした。
絶えず文明を進めてきた人間は、同時に多くのものを忘れ、失っているようにも思います。月明かりは蛍光灯やLEDほど明るくはないですが、それらにはない広大な明るさで静かに優しく世界を照らしています。
かつて石炭産業で栄え、現在は主たる産業がない嘉麻市ですが人間が忘れてはならない大切なものがまだ残っているまちだと思います。
受賞者コメント
この度は榮えあるRethink Creative Contest2025で僕の作品をBronze Rethink Creator賞にお選び頂き誠に有難うございます
このような名誉な賞を頂いたのは僕の人生初のことで大変光栄です
移住した嘉麻市にてその月明かりに感動して「この感動を何か作品にしたい」という思いがあったところ、このコンテストとご縁がありました
僕はデザイナーではないですが一枚の紙に想いを込め、それを洗練させていく事に今は大変な魅力を感じております
有難うございました
審査員コメント
筒井 美希 氏
電球と月を重ねたビジュアルが目をひく作品でした。月明かりの明るさに驚いたという作者の実体験が土台にあることで、移住して初めて気づく“土地ならではの感覚”が素直に伝わってきます。「消滅しそうな市」というネガティブな事実を、自然の明るさが感じられる体験へと置き換えられています。これが外から目線ではなく、暮らしの中から生まれた発見だということも重要で、だからこそ押しつけ感がなく好感の持てる作品になっていると思います。
カイシトモヤ 氏
不動産への投資や住みたい街ランキングのように、土地はスペックで語られるようになった。そもそも私たちは子供の頃から地理の授業で⚪︎⚪︎生産量第1位など、土地を抽象的な数値・概念で学んでいた。しかし本当の地域の魅力は、住民や来訪者の極私的な体験や感情に大きく依拠すると思っている。作者にとって嘉麻市の月は偉大だった。月は一つしかないし、隣の街から見る月もまた同じ存在なのに、作者が見た月は、他でもない「唯一無二の嘉麻市の月」だった。その感激が「それを伝えたい」力に変わり、ポスターとしての強いコミュニケーション性を生んだ。大切なことは進歩だけではないというテーゼにまで昇華している作者の感受性に打たれた。
田原 洋樹 氏
県内で「一番消えそうな市」に選ばれたまちを逆手に取り、暗闇の中「月の明るさ」を際立たせたポスターは、目をひきつけます。日本にはこのような過疎のまちでありながら、素晴らしい地域資源が埋もれていることも多いと思います。今回の作品は、それを掘り起こそうとする意欲的な内容であり、他の自治体にも勇気を与えるものだと思います。
宇田川 尊志 氏
行ってみたい、住みたいと思わせるクリエイティブも個人的に評価規準の一つとして審査しましたが、この作品はまさにその基準に合致していました。電球の中にある明るい月のデザインは優しく、ディスクリプションはのどかな田舎の風景をストレートに表現しています。「一番消えそうな市」は全国に点在しており、そんな街を守っていかなければと強く感じさせる作品に仕上がっていました。