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PROJECT REPORT

Rethink講座&ワークショップレポート 福岡編  ~世界最大級の夢うつつ?~

「名物、寝てる…(汗)」

2021年9月に開催された、Rethink Creator PROJECT 福岡セミナー。
福岡といえば、明太子にラーメンが有名ですが、今回ワークショップで出されたお題は「どでかいお釈迦さま」。しかも、スヤスヤと御寝みになっている…?
…参加者たちはこの意外な福岡名物の魅力を、どう伝えていくのでしょうか?

2021 Rethink Creator PROJECT 第14回 福岡セミナー

【日時】 9/11(土)13:30~16:30
【会場】 オンライン開催のみ

福岡セミナーの会場&参加者は?


今回福岡セミナーの会場は、福岡市スタートアップカフェ。天神・大名エリアの旧大名小学校を再利用した施設で、「グローバル創業・雇用創出特区」として創業支援と雇用創出に力を入れる福岡市が『起業の裾野を広げる』施設として、起業前後の無料相談や各種サポート、イベント開催を行っているほか、コワーキングスペースとしても提供しています。

新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえ、会場へのリアル参加は無し、オンライン参加のみの開催に。
セミナーの参加者は、男女比3:1。年代は10~50代までと、幅広い年齢層の方がご参加くださいました。
属性としては、会社員・公務員が5割、自営業・フリーランスの方が3割、学生が1割。クリエイティブなお仕事を経験されている方が約7割と、多くの方が経験者でした。未経験者の方も「初めてだけどクリエイティブな仕事に興味がある!」といった方が多かったようです。

 

福岡セミナーの講師はこんな人!

渡辺 高志(Watanabe Takashi)

職業:クリエイタープロデュース
在住地:福岡県
株式会社Zero-Two常務取締役。
IT/WEB系プロデューサー→フリーランス→クリエイター育成スクール→クリエイターネットワーク運営→ITビジネスプロデュースという経歴を持ち、「ゼロイチの先、持続可能なビジネスを福岡から発信する」をミッションとして2020年12月にZero-Twoを設立。福岡でITに特化した求人サイトの制作やコワーキングスペースの運営など、幅広い業務を行っている。

荒川 智子(Arakawa Tomoko)

職業:フリーランスクリエイター
在住地:福岡県
インテリアデザイン業界からWEBデザイン業界へ転身。2004年にデザイナーとして独立し、同時にクリエイター養成講師も務める。
「自分の常識を飛び越えた別の世界を知ることで、新しい発想が生まれてくる」をモットーとし、現在はWEBサイト制作(デザイン・企画・運営サポート・DTPデザイン)をメインに、デジタルハリウッドでトレーナとしても活躍中。

Rethink Creator PROJECT 福岡セミナー、いざスタート!

 


福岡セミナーは、他の地域で行われている形式を少しアレンジ。
第一部として、Rethink Creator PROJECTを企画・運営している「株式会社クリエイターズマッチ」代表・呉(ご)と、地元・福岡で20年以上続くデザイン会社「株式会社ディーゼロ」の代表・矢野修作氏、2人のクリエイター出身の起業家によるトークセッションが行われました。トークセッションのテーマは、「起業したクリエイターのホンネを聞く!」。起業支援に積極的な福岡にぴったりなお題で、2人の起業家のアレコレに迫ります!

 

―まず、お2人が起業されたキッカケを教えて下さい!

呉氏:僕自身がクリエイターとしてフリーランスや企業所属で働く中で、日本社会でのクリエイターの賃金や労働環境に疑問を感じたんです。どうしてこうなっているんだろうって。で、それを解決したいと今の会社を興しました。

 

―クリエイターを取り巻く環境が悪かったということですか?

呉氏:自分がフリーランスでクリエイターだったときは、徹夜やタイトな〆切に追われて、ひたすら納品し続ける、という生活だったし、周りもそうだったので。

 

―確かに…。では、矢野さんはいかがでしょう?

矢野氏:僕は2000年に起業しました。大学を中退して、独学でデザインを学んで、入った会社を1年で辞めちゃって、それで会社を立ち上げたんです。会社員時代からずっとクリエイティブは楽しかったし、徹夜も激務もイイものを創るためには苦じゃなかったんだけど、僕の入った会社はとっても真面目で、夜中の3時まで作業をしても翌日の出社が遅いと遅刻になっちゃう。ちょっと自分にはそれはツライな、もう少し自分のペースで働きたいな、と思って退職し、起業することにしました。

 

―起業されたのはいつごろですか?

矢野氏:2000年だから、22年前。スマホもiモードも無い時代だった笑。
呉氏:僕は2007年なので、矢野さんは起業家の大先輩です。

 

―当時って、個人が起業するというのは珍しい時代だったと思うのですが、お二人はどんな心持ちで起業されたんでしょうか?

矢野氏:僕はフリーランスとして独立した感覚で起業したんで、かなりカジュアルな感覚でしたね。「あーこれで朝起きなくていいんだ♪」みたいな笑。まだ23歳だったし、養わなきゃいけない家族もいなかったし。法人といっても先輩と2人で始めたので、ホントにフリーランス気分でした。法人にしたのは、より大きな受注を請けるときに法人格があったほうが信用して貰えるからですね。

呉氏:クリエイターはパソコン1つだけで独立できちゃうので、その点ではカジュアルな感覚ですよね。ただ、起業とフリーランスとして独立するってちょっと意味が違うと思っていて、僕はフリーランスになったときは目茶目茶カジュアルな気分でしたけど、クリエイターズマッチを立ち上げたときは相当な覚悟を持っていました。

 

―覚悟というのはどんなものに対してですか?

呉氏:なんでこの賃金で、この労働時間で…って感じてた疑問を、自分で解決したいと思って、それで「クリエイターを幸せにするための事業を創る」という目的を持って起業したんです。それはフリーランスだった時とは全く違う感覚でしたね。20年前って、クリエイティブで解決できる課題ってそれほど多くはなかったけど、インターネットの発達で、デザインやクリエイティブで解決できることが非常に広がった。起業した背景には、そんなクリエイティブの領域拡大もありました。

 

―矢野さんは、会社を運営するうえでのビジョンってどうやって考えられるんですか?

矢野氏:はじめはフリーランス気分で立ち上げたんだけど、ありがたいことに仕事が増えて、そうすると人も増えて。で、何かみんな、辞めないんですよ笑。ずっと居てくれる。そうすると、この人たちのキャリアを創らねばならない!となって、その使命感から事業を拡大したり…と展開していった感じですね。

呉氏:ディーゼロ(矢野氏の会社)の離職率の低さはスゴイですもんね。

 

―仲間の存在がビジョンを引き出してくれるんですね。では次に、これからのクリエイティブや、クリエイターっていう存在はどうなっていくと思われますか?

呉氏:最近では、多くの企業でクリエイターが経営層に参画していますよね。事業自体を設計していくのがクリエイティブ、という意識になってきている。
実はデザインを組み立てるフレームワークって、事業を創るフレームワークと殆ど同じだと僕は思っていて、だからクリエイターが参画する会社は成長スピードが早いんじゃないかと思っています。今、全国でセミナーをやったりクリエイターを育成しているのも、現地の課題、社会の課題ををクリエイターが解決することができるんじゃないかと思っているから。クリエイティブってデザインだけじゃなく、社会課題を解決するためのフレームワークなんじゃないかと思うんで、これからクリエイターはもっと価値ある人材になっていくと確信してます。

矢野氏:僕自身は20年前とデザインの概念は変わっていないんです。けど、時代と共に世間のデザインというモノに対する概念が激変して、僕の考える概念と近づいてきたと感じてます。手段がメチャメチャ増えて、例えばTikTokとか、人がクリエイティブを発信するというのがもの凄く手軽になった。これから、自分が考えたものを形にすることがさらに身近になっていくと思うし、身近になるからこそ、さらに進化していくんじゃないかと思っています。

 

―起業家として「クリエイターで良かった」と思うのはどういう点でしょう?

矢野氏:まず、フリーランスのクリエイターという立場だとチャレンジがしやすかったというのはありますね。あとは、普通の起業家って、頭の中をクリエイターに伝えて見える形に落とし込んでもらうんだけど、それが上手く行かないと、社員にも社会にも広まらない。どんなにいいアイデアが頭の中にあっても、それを伝えられないと事業が進まない…っていうジレンマがあるんですよね。僕は自分がクリエイターだから、考えを自分で見える化できる。他者にグッと伝わりやすいし、齟齬が無いからスムーズだし、それはほんとクリエイターで良かったと思うところですね。

呉氏:僕も頭の中で絵で思い描くタイプなので、伝えたいことが伝わりやすい、というのは矢野さんに同意ですね。ただ、僕は文を書くのが得意じゃないんです。絵だけでは伝わりきらないことってあるんで、絵にしたものを翻訳して貰う、文章にしてくれる仲間って必要で、クリエイターだけで事業が成り立つかっていうと、ほかの視点も必要だなぁと思います。

 

―まだまだお話を伺いたいところですが、お時間が来てしまいました…最後に、起業を目指すクリエイターに一言!

矢野氏:クリエイターって、とっても価値が高い職業。だから、自信を持って欲しいです。今はクリエイティブの範疇って滅茶苦茶広がっていて、その分比較対象も広がって、色んな所で凄いクリエイターを見ることが増えたと思う。でも、皆それぞれ違う個性を持ったクリエイターなんだから、めげそうになっても自信を失わずに自分のクリエイティブを発揮していって欲しいですね。

呉氏:今、多くの会社から「クリエイター居ないですか」「クリエイターが欲しい」という声を頂いています。クリエイターの価値はこれからまだまだ上がり続けると思うんです。コロナ禍で広がったDX(デジタルトランスフォーメーション)って、IT技術を駆使して人々の生活をより良いものに変革させる、っていうことなんですけど、これってクリエイターがいないと絶対できないことなんですよね。モノを創れるということは、これからの社会でとても重要なスキル。このスキルを早いうちから身に付けておけば、その後に大きな強みになると思います。すべての仕事にクリエイティブって必要なので、どんなシーン・どんなマーケットでも役立つはず。だから、迷わずチャレンジしていって欲しいし、矢野さんも仰いましたが、自信を持って欲しい。自信を持って突き進むことで、目指すモノが形になるんじゃないかと思います。

 

―本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!

お2人の熱いトークセッションが終わったところで、そのまま第二部がスタート。
まずはRethink Creator Seminarとそれを主催する株式会社クリエイターズマッチについてのご紹介です。

クリエイターズマッチは、教育・制作・開発の3つの事業を通して「クリエイターが働きやすい世界を創造する」ことを目的とした会社。日本全国にいるクリエイター志望者へ学びの機会を、パートナークリエイターにはキャリアを広げるためのお仕事・作業効率を上げるためのツールなどを提供し、資生堂やアディダス、バンダイなど、数多くの大手企業との取引実績もある企業です。Rethink Creator Seminarは、その「教育」のひとつで、Rethink PROJECTの一環としてクリエイターズマッチが運営しているセミナー。
「地元を誰かにまかせない。」というキャッチコピーのとおり、クリエイターの地産地消を目指して、地元の人しか知らないその土地の魅力を再発見して発信する方法を知ることができる、デザイン未経験者でも受講可能なクリエイティブセミナーなのです。

 

続いて、本日の講師である渡辺さん、荒川さんからの自己紹介。
お二人とも福岡を拠点に活動されており、地元を元気にするRethink Creator PROJECTの活動趣旨に賛同、講師を務めて下さっています。
今日はクリエイティブに興味を持っている方や、デザインを始めたばかりの方々に、少しでも何か持ち帰っていただけたらと張り切っておられるご様子。

それでは、福岡セミナー、スタート!

福岡セミナーレポート其の壱 Rethink講座 IN 福岡編


福岡セミナーRethink講座は、講師の渡辺さんが進行し、荒川さんが回答していくという形で進んでいきます。

Rethinkとは、「視点を変えて考える」という意味。
具体的にどのように視点を変えるか、というと…
1.FILTER  2.INSIGHT 3.CAPTAという3つの見方で「視点」を変えてみることで、地元の魅力を新しいカタチで伝えよう、という試みなんです。

さっそくRethinkで福岡の魅力を見つけてみよう!ということで、福岡と聞いて思いつくワードを挙げていくことに。
明太子・ラーメン・もつ鍋・ペイペイドーム・太宰府…いずれも福岡県を代表する名物ですが、対象を特定しないと、不特定多数向けの誰もが知っているワードしか出てきません。

 

ここで、Rethinkの1つ目・FILTERの出番!「誰に」+「何を」を特定していくのがFILTERなんです。

まずは「特定の誰か」をイメージ。荒川さんからは、「福岡転勤が決まった料理上手な後輩」という案が挙がりました。

渡辺さん「荒川さん、この後輩に福岡の魅力のある場所って言ったら、どこを紹介したいと思いますか?」
荒川さん「料理上手…福岡の新鮮食材が並んだ博多の台所、柳橋連合市場を紹介したいですね」
柳橋連合市場とは、渡辺通駅近くに1918年からある市場のこと。新鮮な鮮魚や青果はもちろん、博多名物の明太子や食べ歩きにぴったりな蒲鉾などの練り物、和菓子屋なのにパンが人気のお店やお洒落なカフェまである、まさに「博多の台所」なんです。

渡辺さん「柳橋連合市場!イイですね~。柳橋連合市場っていうと、福岡についてある程度詳しくないと、なかなか出てこない場所ですからね。
皆さん、どうでしょうか?伝える誰かを決めたお陰で、最初に挙げた福岡の魅力とちょっと違った見え方になってきましたよね?」
フィルターをかけることによって、最初に考えた一般的(ベタ)な福岡の魅力とは違う、グッと相手に寄り添った魅力を挙げることができました!

このようにFIRTERで「誰に」 「何を」を絞り込むと、地域の魅力がはっきりと見えてくるのです。

 

続いて、視点を変えるRethink2つ目、INSIGHT。先ほどの例で伝えたい理由(INSIGHT)を考えていきましょう。

渡辺さん「なぜ料理上手な後輩に柳橋連合市場を紹介したいと思ったのですか?ここには必ず理由があると思うんですよね。」
荒川さん「まず料理上手ということだったので、新鮮食材が揃う柳橋連合市場を紹介したいなと。あと、柳橋連合市場の方たちって博多弁を使ってワイワイ話すので、賑わっている福岡の雰囲気も楽しんでもらいたいと思いました。」
渡辺さん「その人が喜ぶような様子を、具体的にイメージして選ぶことが大切になってきますよね」

このようにINSIGHTとは、伝えたい「誰か」に寄り添うとコミュニケーションの方向性が見えてくる、ということなのです。

 

視点を変えるRethink3つ目は、CAPTA。
これは、対になるモノとしてDATAと比較してみていきましょう

・データ:性格で堅い情報(数値や属性、位置や時間などの定量的な情報)
・カプタ:自由でやわらかい情報(現象や心理、物語などの解釈が色々ある情報)

では、講師の荒川さんを例に挙げると…?
データで伝えると、「WEBデザイナー 荒川智子 福岡県出身」
CAPTAで伝えると、「おっとりしてそうでスピード狂 安全運転でいきましょう」
おおっと、意外な講師の素顔が笑。
データよりもカプタの方が、より人間性を伝えることができますよね。

では、先ほどの「福岡に転勤が決まった料理上手な後輩」に紹介する「柳橋連合市場」をCAPTAで表現すると、どうなるでしょうか?

渡辺さん「荒川さん、どうでしょうか?」
荒川さん「にぎやか・らっしゃーい・博多の台所・おいしかよ・わいわい…などでしょうか。」
渡辺さん「そうですよね、すごく活気があって賑やかな場所ですもんね。素敵なワードですね!じゃあ最後に、出てきたワードをキャッチコピー風にまとめてみましょう。」

データで伝えると「新鮮食材39店舗 柳橋連合市場 柳橋バス停徒歩10秒」となりますが、カプタだと「うまか やさしか せからしか はよ、こんとのおなるよ(おいしい やさしい わいわいガヤガヤ 早く来ないと無くなっちゃうよ)」という感じに。
CAPTAの表現のほうが賑やかさや福岡らしさが出ていて、楽しい印象を与えることができますね。

 

セミナーの締めに、講師の荒川さんが、Rethink視点への変え方の工夫を3つ紹介して下さいました。

荒川さん「視点の変え方として意識していることが3つあります。
1つ目が、地元以外の情報に目を向けるということですね。いちばんは旅に出るのがいいんですけど、今は旅行がなかなか難しいので、情報番組や旅番組、情報誌を見るのもいいと思います。ほかの地域と地元を見比べることによって良さを見つけたり、問題点を見つけることもできますよ。
2つ目は、イラっとしたときなどに、その逆の視点で考えるようにしています。例えば福岡はバスが多くて渋滞が多く、運転しづらくてイラっとするけど(苦笑)、逆に考えるとバスが多いということは色んな場所にバスで行くことができるんだ!と、メリットの気づきになる。発想の転換によって最初デメリットと思っていたことがメリットに見え、地元の魅力に気づいたりします。
最後の3つ目が、街での気づきを人に話すこと。人との会話から地元の問題や自分の知らなかった情報などが入ってくることがあるので、この3つを意識して視点変えをしています。」

FILTER・INSIGHT・CAPTA、3つの手法でRethinkしてみると、身近な魅力が沢山見つかる。同じモノでもさまざまな表現ができる。それが実感できた講座でした!

ここでは講座の一部をご紹介しましたが、実際にはほかにも地元のスポットやグルメがたくさん紹介され、講師がRethinkして新たな魅力を発見してくれました。
地元の人も知らない名所や名物が次々と出てくるのを見ているだけでも楽しいのに、そこにRethinkでより魅力的なメッセージが添えられると、「行ってみたい!」「食べてみたい!」という気持ちが高まります。

 

「セミナー後、街を歩くと発見だらけ!」
「クリエイティブって難しそうって思ってたけど、視点を変えるだけで色んなアイデアが湧いてくるんですね」
と、参加者からも大好評。このセミナーに参加したことがきっかけで、今はデザイナーとして活躍する先輩もいるんですよ。

こんなに充実した講座&ワークショップなのに、未経験大歓迎、参加費は無料
興味が湧いた方は、今後のセミナー開催予定をチェックしてみて下さい!

Rethink Creator Seminar2021 セミナー開催情報はこちら>>

福岡セミナーレポート其の弐 Rethinkワークショップ IN 福岡編

RethinkワークショップIN福岡のお題1 百恵ちゃん派か、さだまさし派か。


休憩時間を挟んだ後は、地元福岡のポスターを作って、地元の魅力を伝えてみよう!というRethink実践編がスタート。
参加者にお題の写真のコピーを考えてもらい、講師の荒川さんがポスターデザインを作っていくという流れで進めていきます。

今回のテーマは「地元のアフターコロナをRethink」。緊急事態宣言が明けた後に福岡へ遊びに来てもらうために、未来を想定してRethinkしてみよう、という意図が込められています。

1つ目のお題写真は、能古島(のこのしま)のコスモス畑。
能古島は福岡県西区に所属し、福岡市の中心部から10分程度で行くことができるという、博多湾に浮かぶ小さな島。菜の花、コスモス、水仙の花の名所で、「自然公園のこのしまアイランドパーク」では一年中花畑を楽しむことができ、特に秋のコスモスが人気なんですって。

渡辺さん「能古島、意外と近くても行ったことがない方も多くて。行くと素晴らしい所なんですよ」
さあ、このコスモス畑の画像が、どんなメッセージを発信するポスターに変わるのでしょうか?

ターゲットを決めよう1 ~さあ、誰に届ける?

  • 山口百恵ファンの会社の代表。60オーバー、男性
  • 7歳と4歳の子供がいる32歳のお母さん、アウトドアは得意ってほどでもないけど、子供を連れて外に行くのは好き
  • デートスポットが思いつかない30代男性
  • 大学時代の同級生。現在体育教師で高校野球の監督
  • 今年花見を一緒にできなかった会社の同僚
  • 福岡在住の大学生、遠くに行きたいけど、お金がない
  • 4月に新卒入社した会社の後輩(他県出身)
  • 福岡の情報雑誌を発行している編集者

まずは能古島の画像を「誰に届けたいか?」を決めるためのアイデア出しを行います。
ポイントは、できる限り具体的な人物像を想像してみること。実在の人物だとなおbetterです◎

荒川さん「挙がってきました。山口百恵ファンの会社の代表、60オーバー男性…これはコスモスからですかね?笑」
渡辺さん「コスモスっていう歌がありますからね、僕はどちらかっていうとさだまさしさんのほうを思い浮かべてしまいますけどね」
と、名曲「コスモス」でトークが盛り上がる中、続々と案が挙がってきます。

案の中から選ぶのは荒川さん。良い案が沢山あり、ずいぶんと悩んだようですが…今回のターゲットが決まりました!

7歳と4歳の子供がいる32歳のお母さん、
アウトドアは得意ってほどでもないけど、
子供を連れて外に行くのは好き

コピーを考えよう1 ~さて、どのように伝える?

  • 子供のびのび、ママのんびり。のこのしま時間
  • みんなで、深呼吸
  • 自然の中に浮かぶ島。スニーカーでおいで!
  • お母さんも元子供
  • 360度映えスポット
  • コスモスと潮の香に包まれたい
  • 今日は、ずっと一緒に遊ぼ!
  • のこのしまでのこのこしましょう
  • あなたにもお子さんにも島からのご褒美を!
  • 花の絨毯でくつろごう

続いてはSTEP2。「写真から感じられるカプタをたくさん見つけよう」ということで、写真が撮影されたシーンを想像して、インスタのハッシュタグを付けるノリで、どんどんアイデアを挙げていきます。
ワイワイやガヤガヤなと擬音語とか擬声語と言われるオノマトペもカプタなので、それも含めて自由に思いついたものを挙げてOK。

渡辺さん「能古島、僕は2回ほど行ったことがあるんです。バーベキューやアスレチックのスペースもあるんですよ」
荒川さん「そうそう、アスレチック、結構怖いんですよ笑。子供用かと思いきや結構本格的なんですよね」
講師たちの能古島トークの最中も、参加者たちから続々とアイデアが挙がってきます。

カプタのアイデアを出し終えたら、STEP3は「インサイトに寄り添ってキャッチコピーをつくろう」。
相手に伝えたいと思う「理由」や「メッセージ」を考えながら、出てきたカプタを組み合わせて、ターゲットに響く面白いコピーを考えます。

挙がってきたキャッチコピーの中には「360度映えスポット」というワードが。
渡辺さん「能古島は本当に360度見渡せるんですよね。市内から海にかけての景色をぐるりと楽しめてね、本当に素敵ですよ」
荒川さん「見る側によって景色が全然ちがいますからね、360度グルっと色んな風景が見えて、本当に島にいるんだなって思える場所ですから」
周囲すべてが見渡せるという能古島。光景が浮かんでくるようです!

渡辺さん「“子どものびのび。ママのんびり。のこのしま時間。”いいですね~、こういう子供とお母さんの対比表現も面白いですよね」
沢山の力作コピーたち、どれを選ぼうか…。迷いに迷って荒川さんが選んだキャッチコピーは、こちら。

自然の中に浮かぶ島。スニーカーでおいで!

レイアウトを決めよう 1~プロの技、拝見!

キャッチコピーが決まったところで、参加者の多数決で「文字(フォント)の種類」と「文字のレイアウト(縦書きか横書きか)」を決めていきます。

選ばれたのは、「縦書きでゴシック体」。
ここからは講師の荒川さんがレイアウトをIllustratorで作っていきます。
写真と文字とのバランスを見ながら、文字の大きさを調整。

荒川さん「ちょっと文字を小さくしてから、“浮かぶ島”という感じで、文字間を開ける…」
渡辺さん「浮かんでいる感じをイメージするわけですね」
荒川さん「浮かぶは華奢なイメージを連想するから、強いイメージではなくて、文字も繊細な感じに。“スニーカーでおいで!”は難しいなぁ。話しかける風に表現しようかな…斜めにしたりとか」
渡辺さん「斜めにすることによってよりラフさが出て、掛け声みたいな感じがしますね」
荒川さん「『スニーカーでおいで』って、コスモスが話しかけてるような感じを出したいんです」
渡辺さん「それは?あ、呼んでる感じが出てきましたね!」

短時間で文字が話しかけてくるようなレイアウトや加工をサッとこなす荒川さん。
さすがだなぁ!と感心するようなポスターができあがりました。
完成!これが、1つ目のRethink。


参加者みんなで創った、1つ目のRethinkが完成しました!
渡辺さん&荒川さん「いかがでしょうか?1枚の能古島の写真と、皆さんが考えて下さったキャッチコピーで、こちらのポスターが出来上がりました!」

メインのキャッチコピーが真ん中に配置され、サブコピーがやさしく囁いているようなポスターに仕上がっています。
文字のレイアウトを斜めにしたり、吹き出しのような装飾を付けることで、コスモスが話しかける様子を見事に表していますね。
とってもナチュラルなのに、不思議と印象的。『スニーカーでおいで!』が心に残ります。

学んで即実践できるお陰で、Rethinkの醍醐味をしっかりと味わえるセミナーになっていますね。
「自分にもできちゃうかも?」もちろん、できます!
クリエイター未経験者もデザイン未経験者も気軽に参加できて、しかも無料!のRethink Creator Seminar、あなたもぜひ参加してみて下さい。
Rethink Creator Seminar2021 セミナー開催情報はこちら>>

RethinkワークショップIN福岡のお題2 お釈迦さま、実は寝たふりしてる?


どんな感じで作っていけばいいのか分かってきたところで、2つ目のお題にチャレンジ。
福岡県、篠栗町の南蔵院、釈迦涅槃像の写真です。
1988年にミャンマーの国仏教会会議により贈呈されたブロンズ製の釈迦涅槃像は、「世界一大きい涅槃像」だと言われており、全長41メートル、高さ11メートル、重さ300トンという大スケール!横たわったお釈迦さま、地元では「寝仏さん」として親しまれているんだとか。

渡辺さん「涅槃像いいですね!僕、ここ実は何回も行ってます」
荒川さん「この涅槃像がある南蔵院は東南アジアの子供たちに医薬品や文房具を送り続け、その返礼としてお釈迦様とその弟子である阿難様と目連様の3体が贈呈されたんだそうです」

さあ、でっかい涅槃像に、創造力もでっかく膨らむでしょうか?

ターゲットを決めよう2 ~さあ、誰に届ける?

  • 仕事がいっぱいいっぱいな、自分に対して
  • 祖母をなくした祖父
  • 忙しいサラリーマン、休みの日は外出しないといけないと思いながら家で寝ている
  • 巨石、巨木、巨像、大きなものが大好きな27歳女性
  • 家事育児介護にへとへとな50代女性
  • 当たらないとわかりつつ、年末ジャンボ宝くじを買っているおとうさんたちに

さっそく今回のターゲットを決めていきます。
渡辺さん「僕はお母さんを連れていきたいですね。お寺とか大好きなんでね」
荒川さん「お寺いいですよね。南蔵院は結構広いですしね、見るところも多いですし。」
参加者からは年代も性別もさまざまなターゲット案が挙がってきます。

渡辺さん「涅槃像といえば仏閣をイメージしやすいですが、そうではない別のカテゴリー(大きいものが好き)からターゲットを選ぶのも面白いかもしれませんね。」
荒川さん「そうですね、確かに見た瞬間“おー!”ってなりますしね」
さて、荒川さんが選んだターゲットは…?

巨石、巨木、巨像、大きなものが大好きな27歳女性

コピーを考えよう 2~さて、どのように伝える?

  • 足も長いのよ♡大事な夢の見れるわよ♡
  • ドーンとどデカく休憩中
  • どでかい願いをかなえてあげよう
  • 見に来てください。写真では表現できない大きさです
  • 大きく当たりますように
  • 君のタイプの俺だろ?
  • 日本最大のセクシー
  • 私をフレームにおさめれるかな?
  • 驚愕の添い寝スポット

ターゲット決定の後は、キャッチコピーの元として沢山のカプタ情報を挙げ、続いてカプタで挙がったユニークな言葉たちを組み合わせてキャッチコピーを考えていきます。

荒川さん「挙がってきました。“どでかい願いをかなえて見せよう”!」
渡辺さん「あ~確かに!巨石・巨木・巨像繋がりで、物理的な大きさではなく、大きな夢を見ることができるといった視点への変更も面白いですよね」
参加者から挙がる自由なアイデアに、講師の2人も楽しそう。

渡辺さん「“私をフレームにおさめれるかな?”“圧倒されにおいで”なんかは、涅槃像が言っている言葉ですね。ほかにも涅槃像が発している言葉が多く挙がってきていますね」
荒川さん「確かにそうですね」
涅槃像、寝ているのに意外とお喋り…w?

続々と上がるキャッチコピーの中から講師の荒川さんが選んだのは、こちら!

どーんと、どデカく休憩中

レイアウトを決めよう2 ~プロの技、拝見!

続いて、1つ目と同じく参加者の多数決で「文字(フォント)の種類」と「文字のレイアウト(縦書きか横書きか)」を決めていきます。
今回は明朝体で横書きに決定。またまた講師の荒川さんがレイアウト作成を進めていきます。

決定したキャッチコピーの「どーんと、」の部分を、ポスター上部に文字どおりどーんと持ってくることに。
渡辺さん「大きさを表すために、“どーんと”の部分をとにかく印象的にしているんですね」
荒川さん「そうですね、“どーんと”、もっと大きくしたいですね」
渡辺さん「はみ出るくらいの大きさにするってことですか?」
荒川さん「そうです。切れてしまうくらい」
渡辺さん「涅槃像自体も見切れているくらいですからね笑」
荒川さん「これでどうでしょう?“どデカく休憩中”まではみ出してしまうとやりすぎなので。
あ!「ど」だけもう少し大きくして…できました!」

対象もコピーも遊び甲斐があるお題だった様子。
楽しみながら荒川さんが仕上げてくれた、2つ目のRethinkのできあがり!
完成!これが、2つ目のRethink。

2つ目のRethinkも完成!
涅槃像の大きさを体感できるポスターに。見たらクスッと笑ってしまいそうな涅槃像の大らかさと、なんともゆるい感じが癖になりそうです。
1つ目のRethink作品もそうですが、一度見ただけで不思議と記憶に残るインパクトがありますよね。
渡辺さん「大きなものが好きな27歳の女性の方に対して作ったこちらのポスター、いかがでしょうか?」
荒川さん「“どーんと”で、はみ出るくらいの大きさを表現してみました」
講師のお2人も参加者も、満足のいく出来栄えになったようです◎

福岡セミナー、終了! ~参加者の感想は?

最後に、講師のお2人から。

渡辺さん「クリエイトする思考自体は誰でも持つことができます。色んな事に活かせるので、今日何か得られたと思ったら、さっそく今日からでも生かしていただけたらなと思います。」

荒川さん「WEB制作の仕事をしていると、クライアント様から“イイ感じでお願いします”と言われることがあるんです。この“イイ感じで”というのが、まさしく今日勉強したCAPTAなんじゃないかなと。クリエイターとして、CAPTAをどれだけ出すことができるかが大切なんだと思えました。
今日皆さんが沢山アイデアを出してくださったように、日頃撮りためている写真にコピー付けたりして、練習を積み重ねていきたいな、と思います!」

締めには、Rethink Creative Contestという、地元の魅力を地元のクリエイターが表現して競うコンテストの紹介が。
2021年のテーマは、「地元のアフターコロナをRethink!」。
これから必ずやってくるアフターコロナに向けて、あなたの地元の「当たり前だと思っていたこと」「意外と知られていないこと」「ちょっと残念なこと」を魅力的に伝えて下さい、ということで、A4タテサイズのポスターを創るというのが課題です。IllustratorやPhotoshopといった専用ソフトを使わずとも、Wordなんかで作成してもOKなんですって。
最優秀賞となるRethinkPROJECT賞には、賞金50万円が贈呈される!ということで、デザインやクリエイティブのコンテストとしてはかなり大盤振る舞いなんです。
2020年のRethink PROJECT賞は、沖縄の意外な風習を紹介したユニークな作品。受賞作を見てみたい方は、2020コンテストの審査結果ページをチェックしてみてくださいね!

 

Rethinkセミナー、これにて終了!
実際に参加くださった皆さんのアンケートからは、以下のような感想が寄せられました。

・参加者の皆さんが面白過ぎました。荒川さんのファンになりました。
・CAPTAについて今回初めて知りました。コンテストも応募してみたいと思います。
・今回セミナーに参加した理由は「地元を誰かに任せない」という言葉に惹かれてでした、地元の魅力をもっとほかの人に伝えたい、地元の住む私たちが広めていけるヒントをもらいたくて参加しました。クリエイターでもないし、起業したいわけでもないし…と不安はありましたが、とても勉強になりました。
・福岡は転勤で2年間過ごしたことがあったので馴染みもあり、具体的に想像することができました(私は糸島が好きです)。セミナーでは参加者の方が積極的に発言していて、とてもいい雰囲気だなと感じました。
・生まれ故郷を守る活動をしています。クリエイターではありませんが、SNSやポスターで発信する機会が多く、クリエイターのようなこともしています。これまで感覚だけでやっていたので、スキルや手順を明確にしていただけたのでとても参考になりました。
・芸術系の大学に行きたいと考えていて、母からこちらのセミナーのことを聞いて参加させていただきました。2個目のポスターのキャッチコピーで選んでもらえて凄くうれしかったです。今回のセミナーでより一層デザインを詳しく学びたいと感じることができました。
・地元の田舎について自分たちで発信していきたくて参加してみました。無料でここまでの内容が聞けるなんてお得な気分です。
・学生の頃、クリエイターの仕事に興味を持つも、色々な理由から断念しました。大学生、社会人と過ごす中で、本屋やネット、テレビなどの媒体でクリエイターの方が携わったであろうお仕事を拝見するたびに心揺さぶられる自分がいました。しかし興味を持つだけで挑戦することを躊躇してしまう自分もいて…。何もしない、何もできない日々を過ごしていました。オンラインとはいえこのようなセミナーに参加することが初めてだったため最初は緊張していましたが、トークセッションの熱いお話や優しくわかりやすい講師の方々の話を聞くうちに緊張も忘れ、あっという間の3時間でした。コンテストにも参加してみようと思いました。

ちなみに、参加者の満足度は80%以上。多くの方が今回のセミナーで得るものがあったと感じて頂けたようです!
※参加者アンケートで「とても満足できた」「満足できた」と回答された割合
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リアル&オンラインのハイブリッド開催だから、開催地外からのオンライン参戦もOK!
デザイン・クリエイティブ経験の有無は問いません。未経験者も初心者も大歓迎。
エリア毎に例題やワークショップのお題は毎回変わるから、このレポートを読んでくださった方も新鮮な気持ちで受講できるはずですよ。

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